第5回 - PENDERYN - ペンダーリン

シングルモルト倶楽部メンバーレポート

いつのまにか蝉の声がぱったりと途絶え、風がだんだん冷たくなり、テレビではシチュウやチョコレートの新CMが流れ始める ―― そんな何となくもの哀しいこの季節、シングルモルト倶楽部鹿児島第4回テイスティング会は騎射場の小さなBarビルバオでしっぽりと開催された。

今回はペンダーリン3種類と、今ではメジャーになったラ・メゾン・ドゥ・ウイスキーの初のボトリング商品といわれる №1 と №2 というラインナップ。
ラ・メゾン・ドゥ・ウイスキーの商品に関しては、蒸留所はシークレットで、№1 と №2 とボトルに書いてあるのみ。
ネットで調べても情報が見つからず詳細は不明だそうだ。
興味深いシングルモルトが5本並んだ。

第5回テイスティング ラインナップ
第5回テイスティング オードブル

ペンダーリンはウェールズ初の蒸留所の初のウイスキー。
ウイスキー界の初々しい新人である。
金の稲妻が1本走ったスマートなボトルが現代的だ。
ペンダーリンシングルモルトが持つそのアロマは、まるで梅酒のようにフルーティーで皆を驚かせ、味はさっぱりしていてアイラ系を好む人には若干物足りなく感じるようであった。
シングルモルトピーテッドはストレートではたしかにピーティーだが加水すると一気にフルーティーなアロマを放った。
炭焼きコーヒーのようなフレーバーで好き嫌いが別れるようであった。
ペンダーリンシェリーウッドはフルーティーでバランスがよく綺麗な琥珀色で女性に人気があった。

ラ・メゾン・ドゥ・ウイスキー №1 は熟成年数が38年と長く今回最も高価な1本。
上品でバランスがよく飲みやすい。
上手に年を重ねたウイスキーであった。
№2 は普段からウイスキーを飲みなれた方々に好まれていた。

第5回テイスティング 風景[1]
第5回テイスティング 風景[2]
第5回テイスティング 風景[3]

今回からテイスティング会とあわせて、ミニセミナーが行われた。
今回のテーマは樽。
教材は 『ウイスキーコニサー資格試験 教本』
樽材・材の産地・樽の大きさの種類など解説がなされ、それぞれの樽で作られるウイスキーの特徴についてシングルモルト倶楽部鹿児島の世話人によりレクチャーが行われた。
グレンモーレンジなど樽にこだわる蒸留所が増えている今、非常に興味深いセミナーであった。
こうして、少しずつウイスキーのことを知り、少しずつ、より深くウイスキーの世界に入り込んでゆくのだろう。

また、シングルモルト倶楽部鹿児島には、今回から秘密兵器が備わった。
アロマノージングキット” である。
木箱の中には英文の説明書と番号付きのラベルが貼られた小さなココア色の瓶が並んでいた。
その一つ一つの瓶にそれぞれ違ったアロマ ― ピーティー、スモーキー、干し草、カラメル、腐敗、ウッディーなど今まで体験したことのない香りがとにかくたくさんある ― が閉じ込められているのだ。
ピーティーとスモーキーは混同されがちだが、実は違うらしい。
ノージングキットで嗅ぎ比べてみると、ピーティーはスモークハムで、スモーキーは正露丸 ・・・ それが皆の一致した見解であった。
一度香りを体験すると、不思議なことに実際のテイスティングでより多くのアロマを認識することができた。
わくわくする体験であった。

Written by オリーブ